おごりおごられ

前から気になっていた事に『おごり』があります。
おごりとは、飲み会や食事会などで『ここは私が支払いますから。』とどちらか一方が代金を全て支払う行動を指します。

私は『おごられる』というのがあまり好きではないです。
おごってくれるその気持ちとお金は大変有難いと思う反面、何か心にもやっとしたものを感じるのです。
そして、相手におごられたその瞬間から『次は私がおごらないと!』『次に会う時は何かお礼を渡さないと!』『次は全力でおもてなししをなければ!』モードになります。
正直、面倒です。
その都度割り勘か個別会計の方が私は気持ちが楽で後味もすっきりします。

以前、脳科学者で著名な中野信子さんの本にこんな一文がありました。
おごられるのが嫌いだと中野さんが某研究者の方に話したところ、『あなた(中野さん)がおごられるのが嫌いと言うのは、おごった人に借りを作る事で支配されるのが嫌だからでしょう?』という指摘を受けたそうです。
それを読んだ時に、ああそれだ!とものすごく納得しました。
もちろん、おごった側にそんな露骨に相手を支配したいという気持ちは無いでしょう。
また、支配と言う言葉はとてもインパクトが強いので不快感や違和感を感じられる方も多いと思います。
ただ、おごってくれる=私を大事にしてくれるという式が成り立たず、逆に支配されるとうっすら感じる人も居たりするのです。
これはおごる側からすれば面倒極まりない事です。
『じゃあどうすればいいんだ、どうやって見分けろと言うんだ。』と言いたくなりますよね。
なかなか大変です。
もうこの際いつでもどこでも何度でも割り勘で良いと思います。
相手への誠意はおごりではなく何か別の行動で見せるという事で、ひとつ如何でしょうか。

男性が女性におごる場合は、上記に記した相手への誠意以外に『男性が女性にお金を出させるのは恥。』『おごらない男はモテない。』という観念(義務感?)も背景にあるように思います。
上司が部下におごる場合に似ている気もしますね。
その観念は男性にとってどのぐらい強いものなのか、とても気になります。
私には男兄弟も男友達も居らず職場も女性が大半という事もあってか、男性のそういう心理がよく分かりません。
そして、もしこの観念が男性だけでなく社会全体に強くあるのだとしたら、それはなかなかしんどいものですね。
こういうのが巡り巡って男女の給与や社会的地位の格差に繋がったりするんだろうかと考えると、これって誰得なんだろうという気もします。

男女間の場合、支払いで割り勘が一般的になるまでの間は女性から先にけん制パンチならぬ『今日は割り勘でお願いします。』を男性に伝えるのが良いのか、それとも黙っておいた方が無難なのか・・・。
北欧など男女の給与額や社会的地位の格差が少なそうな国は、その辺りどうしているのでしょうね。